オーストリアのシュラドミングのナイタースラローム。
例年以上の幻想的な映像が放送前からスタジオには届いていた。
雪が今季は少ない分、ゴールエリアだけでなく、コースの両端まで観客がびっしり。
ワールドカップ最多、4万人の観衆だったそうである。
2本目。ラスト3人の壮絶な争いは見ごたえがあった。
優勝したのはオーストリアのベンジャミン・ライヒ。
1本目は2位の滑り、2本目は2位のタイム。中間の片斜面に立てられた大きく横に振った箇所のさばきは見事だった。
そして何より、その前に滑った、キッツビューエルで一気にオーストリア国内にその名をとどろかせた、SWEのイェンス・ビグマルクの2本目ベストタイムの滑りは、異次元のものを見せてくれた。
ライヒが技術と経験で、前述の箇所を滑ったとすれば、ビグマルクは感性で滑ったとでも言おうか、
荒々しさは目立つものの、目前に迫るポールをひょいひょいと腰から下でうまくかわしていった。
2本目それまでトップに立っていたマークベルトーを1.55秒も突き放したその滑りは、
1本目のタイム差がライヒと0.42秒とはいえ、十分にライヒにプレッシャーを与えたことだろう。
そんな中でのライヒの好走だ。
長年トップに君臨してきただけあるすばらしいメンタル面も見せ付けてくれた。
1本目トップのマリオ・マットも決して悪くはなかった。
確かに2本目は6位のタイムでトータル3位に後退したが、
ライヒほどの老獪さ、ビグマルクほどの爆発力は持ち合わせていなかったというだけだろうか。
さて、日本勢、佐々木明と湯浅直樹の二人は1本目でともにコースアウト。
佐々木選手は生中継の電話インタヴューでも語ってくれたが、
「今日は自分でも期待してました。気持ちも乗っていて、体も朝から動いていた。レースでも途中までよく動けていた」
「最近いいイメージできていなかったレース前日の夜だけど、きのうは久しぶりに細かくプランを立てられていい感じだった」
結果こそ伴わなかったが、キッツビューエルで「調子悪いかも」と感じた不安は一掃出来たようだ。
同時に「結果出ていないし、やばいな今シーズン」と思っているのは認めたうえで、
「こういった悩みとか苦しみとかがんばらないとという気持ちは、レースをしている今しか感じられない。現役やめたら感じられない。これはすごく楽しいことでもある」
とプラスに捉えているという事も話してくれた。
明らかに数年前とは違う話しを佐々木選手がしてくれたことに頼もしささえ感じた実況の私である。
さてJSPORTSのアルペンSL中継も世界選手権後は3レースしかありません。
今季はあまりに日本勢が目立たないシーズンになってしまっているので、そろそろガツンと結果を出してもらいたい!